「あんたなんかに絶対負けない!」
「負けないで!プリキュア」
プリキュアシリーズには「負けない」というフレーズがたくさん出てくる。その一方で「勝つ」というフレーズは、ほとんど出てこない。
なぜ「勝つ」ではなく「負けない」なのか。「負けない」に込めた意味は何か。そのヒントになる話が先日放送された「ひろがるスカイ!プリキュア」にあった。
なお、この先ネタバレになるのでご容赦ください。
プリキュアに連敗している敵は最後の策にうってでた。それは主人公プリキュア・ソラの故郷の護衛隊のシャララ隊長を使う策。先の戦いで重症を負ったシャララ隊長には敵は悪のエナジーを注ぎこんで傷をふさいだ。そして怪物に仕立て上げプリキュアと戦わせる。
怪物の正体が敬愛するシャララ隊長と知ったソラは、仲間たちに「攻撃しないで!」と懇願する。敵は更に追い討ちをかける。「悪のエナジーはシャララ隊長の血となり肉となり、今や隊長の命を支えているのさ」そして怪物を連れて立ち去った。「何度でも遊びにくるよ。君たちのココロがズタズタになるまで…」
がく然とするソラ。仲間たちが打開策を提案するが、「うまくいかなかったら、シャララ隊長はどうなるんですか?」と後ろ向き。そして「わたし、もう戦いたくない!」すると、ソラの変身アイテムは消滅してしまった…傷心のソラは故郷へ帰ってしまう。
そんなソラの背中を押したのは、プリキュア仲間で親友・ましろの手紙だった。ましろの暖かい思いに勇気をもらったソラ。「いかなくちゃ!友達が待ってる!」するとソラの変身アイテムが復活。ソラは、仲間のもとへ向かう。
今度は臆すること無く怪物に立ち向かうソラ。そして、仲間たちが考えてくれた打開策でシャララ隊長を無事救出した。
敵はまさかの展開に逃げ出そうとするが、ソラは何もしない。敵は言う。「トドメをささないのか?またお前のか嫌がる事をするぞ!それでもいいのか!?」ソラの答えは「構いません。どんなことをされても負けないくらい強くなるって、わたし、決めましたから」
この話から、私はこう感じた。
「勝つ」は「敵と同じフィールドで戦う」こと。しかしそれは「相手の思うツボにはまる」危険がある。実際ソラは「隊長を倒すか、隊長に倒されるか、どっちがいい?」と敵の策にはまってしまった。
対して、「負けない」は「そもそも相手のフィールドに立たない」相手の手に乗らないのだ。
なぜプリキュアは戦うのか。それは「大切なものを守るため」だ。大切な日常、家族、友達、自分の大切にしている信条。それを身勝手な論理を押し付け踏みにじる者と戦うのだ。だから、相手の身勝手なフィールドには立たない。「負けない」。
「だから私は戦い続ける。勝つためではなく負けないために」プリキュアは大切なものを守るため、今日も戦う。