にじいろエッセイ

虹のように、いろいろなことをつらつら書くエッセイ

老いるとは、赤ちゃん返りすることなのかな…

老いるとは、赤ちゃん返りすることなのかな…

 

私の父は1年前、屋根に布団を干していた時につまづいて背骨を骨折した。そのせいで、今はまっすぐな姿勢で歩くことができない。

さらに、今日父と母の会話が聞こえてきて、父が「寝返りできない」と言っていた。

 

まっすぐな姿勢で歩けない。寝返りできない。なんか、赤ちゃんに戻っているようだと思った。

 

しかし、赤ちゃんと老いた人が違うのは、「老いた人は自分の身体が自由に動かせたことを知っている」ことだ。

 

赤ちゃんは自分の身体の動かし方をまだ知らないが、老いた人は自分の身体を自由に動かせたことを知っている。しかし、今はそうでないため、塞ぎ込んだり愚痴を言ったりする。

 

困ったことに、我が父はそれが怒りになってしまう。

 

父は普段離れにいるが、たまに母屋のメンテナンスにフラッと現れることがある。

私はうつ病で、親に対して申し訳ない気持ちがある。さらに潔癖症で、親が平気でゴミ箱に手を突っ込むのがイヤなのだ。そのため、親とあまり顔を会わせたくない。

だから、フラッと父が現れるとパニックになるのだ。

 

母屋にくるときは事前に教えて欲しい…そう伝えたら、最初はやんわり「できません」と言っていたのが、次第に怒り出した。

「父ちゃんだってやっとやっと身体を動かしているんや!若いお前がガマンしろ!!」

 

若いお前がガマンしろって…

 

私だって、うつで苦しいんだよ。11月に体調が悪化して12月は一歩も外に出られなかった。今やっと回復してきたけど、できないことはまだまだある。苦しいのは、あんただけじゃない。と言ってやりたいが…

 

私は今でも親に怒られるのが怖い。親の怒り口調は圧が強く、魂にキズがついてしまい、心が凍りついてしまうのだ。だから言い返せなかった。

 

ふと、アリスのチャンピオンの「君の年老いた哀しみを見た」というフレーズを思い出す。父は若き日に見た「ヨボヨボのジジイ」に自分がなってしまった哀しみもあるのだろう。

でも、うつ病の私が気を使わなければいけない状態…不公平感が拭えない。