にじいろエッセイ

虹のように、いろいろなことをつらつら書くエッセイ

大学受験 スランプから脱出できなかった話・5

成績はすべり台をすべるように徐々に落ちていくし、生活のリズムもおかしくなっていった私。大丈夫じゃないのに「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせていて、もはや今までの「何も言われなくても勉強できる子」ではなくなっていた。

両親は私の異変に気がついていたが、何をどう対処していいのか分からなかったらしい。

一方、担任のA先生、通称Aちゃんは、まるっきり私の異変に気がついていなかったようだ。冬休み直前の三者面談でも、「成績が下っているけど、何かあったの?」なんて一切無かった。
自慢になってしまうが、私は文系クラスではずっとトップ集団の中にいた。成績が落ちていくなんて「何か起きている」に決まっているのだ。それなのに、3年間担任をしていてAちゃんは異変に気がつかなかった。まったく、どんだけポヤポヤした担任だったんだ…


そして年明け、両親がついに動いた。
「受験する大学を、もう1校増やしなさい!!」
私は本命が国立大学、併願で私立大学を1校ずつ決めていたが、このままでは両方不合格になるのを恐れた両親は、私立大学をもう1校受験するよう強く言った。
当時、子どもの私にとって親の言うことは絶対だ。でも心の中で「なんで1校増やすの…?」と思っていた。成績が落ちているのに、難関国立大学に合格できるという変な自信は自分の中にあったのだろう。

そしていよいよ、受験本番を迎える。(続く)